象徴としての仏像のムドラー

画像のようなムドラーの仏像は、みなさん一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか?この独特な手指の形もムドラーです。どの形をつくっているのかによって、その功徳や働きを象徴し、私たちにどう働きかけてくれるのかを表現しています。画像の印相は心の安定を表わしており、お釈迦様が悟りを開いたときの姿をとらえたものです。(印相の解釈には複数説あります)
ヨガとムドラー

ヨガでムドラーを実践されているかたもいらっしゃることでしょう。瞑想などで長い時間座るときも、気持ちが落ち着きやすくなります。エネルギーを閉じ込め、それを使っていくことが狙いのひとつであるため、手指を主に使った体位法、つまり狭義のアーサナともいえるかもしれません。指先にまで意識を届かせるという意味でも、集中を高めるためのひとつの良い手段ともいえるのではないでしょうか。クラスでは、呼吸法や瞑想のときにチンムドラーをする機会が多いかもしれませんね。チンムドラーはヨガの究極の到達点とも言える「梵我一如」を表しています。
子宮の中に戻る感覚「ヨーニムドラー」

手指の表現以外でもムドラーと呼ばれるものもあります。その中で、「ヨーニムドラー」と呼ばれるムドラーをご紹介します。これは手指と顔を使うのですが、とても簡単に行える上に、五感のコントロール力を高める、高ぶった気分を鎮静させることも出来ますので、是非お試しになって下さい。ヨーニはサンスクリット語で「子宮」を意味します。
ヨーニムドラーのやり方
- 親指を突出し、両の耳を塞ぐ
(残りの4本の指も全て使えるように、掌は正面に向けた状態で親指をさす) - 人差し指で、両のまぶたを軽く抑える
- 中指を、両の鼻孔の脇に添えておく
(最後に塞ぎ、その後また離しては塞いでの繰り返しをする) - 薬指と小指で口を塞ぐ
日光東照寺の「見ざる言わざる聞かざる」を両手を使ってするムドラーです。ドクドクドク、という音が耳の音で鳴り響き、深海に潜っているかのような感覚が起こってきます。
瞑想にムドラーを活かしてみては?
ムドラーをすると、いつもとちょっと違った感覚で瞑想に入ることが出来ます。忘れっぽい、ソワソワと気持ちが落ち着かないなど、なにかと上手くいかない日に、ちょっとだけ落ち着くチャンスがあると、状況を好転できたりしますよね。そんなときにも、このヨーニムドラーがオススメです。
ムドラーのよいところは、アーサナ(=ポーズ)と異なり、大きなスペースを要さないこと、そして、30秒でも出来ることです。上手にとりいれられるようになれば、ふとした時にプチ瞑想ができます。気軽に、すっきりとした頭に切り替えするツールとして活用してみてはいかがでしょうか


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