「心」に対する指導スキルはかなり上がってきている
ヨガジェネレーションを立ち上げて3年が経ち、個人的には日本のヨガの業界に関わらせて頂くようになり、7年目を迎えました。
たった7年という時間の中でも、日本のヨガシーンでは様々な事が行われ、常に発展&成長し続けてきたな~、という実感がありました。
ヨガの指導者(ヨガインストラクター)がたくさん誕生し、その指導者によって、新たにヨガに出会う人が増え、ヨガに出会った人はまた、ヨガのおかげで心身共に健康になり、時には”ヨガに救われた・・”という言葉を聞く事も少なくありませんでした。
とてもいい循環だなと思います。
ヨガが人に与える効果は、ヨガをやったことがない方にとっては、“健康体操やストレッチと何が違うの?”とか、チャクラや瞑想など、ある種、目に見えない”超能力”的なイメージを与える事も多いですが、個人的には、ヨガには現在の科学でも十分説明できるロジカルな部分がちゃんとあり、呼吸とポーズの組み合わせだけでも、心身に十分な効果をもたらしてくれます。
ですが、私が見てきた日本のヨガシーンでは、どうしても「ヨガ=心の~」とか、「チャクラの~」、というアプローチが前に出てくるケースが多く(イメージ的に)実際、ヨガインストラクターを目指される方も、ヨガの持つ”目には見えない「心」で感じる事で得られる効果”に救われ、魅了されて、“私もこの素晴らしいヨガを、まだヨガを知らない人へシェアしたい”と決意し、指導者の道を歩まれるケースが多いのではないでしょうか?
いや、たしかに私の周りには、そういう人がたくさんいらっしゃいました。
これはとてもいい状態だと思っています。
人の抱えている、目に見えない心のストレスや、悩み事、モチベーション低下など、ヨガインストラクターの皆さんが、ヨガを指導する事で、それらが前向きに解消されるわけですから、そんな素晴らしい事はないですよね?
現に、この数年でヨガインストラクターの「心」をケアする指導スキルは飛躍的に上がってきていると感じています。
「身体」の知識が、非常に低い現状

では一体何が問題か?
皆さんの中で、ヨガのクラス中に、次のような話を見聞きした人はいらっしゃらないだろうか?
ある生徒さんが、ヨガインストラクターに質問をします。
「先生、私の股関節ですが、ココがどうしても硬くていくら練習しても思うような所までポーズに入れないのです。一体どうすれば柔軟性が得られますか?」
インストラクターは真顔で言います、
「うん、それはもしかしたらあなたの柔軟性の問題ではなく、あなたの心にロックがかかってしまっていて、○○チャクラが閉じてしまっているからかもしれない」と・・・。
私は、この指導方法や言葉に対して、100%否定はしませんし、だからこそ個人的な意見は避けますが、私はこういう場面に遭遇すればするほど、
と、非常にもったいなさを感じてしまうのです。
心のケアをするスキルは十分ある、なのに、身体の知識が乏しいがあまり、自分の知識外の質問をされると、どうしても「心」の知識でごまかそうとしてしまう。
ヨガの練習から得られる効果について、現在の科学では解明できない”見えないもの(かなり怪しく聞こえてしまいますが、笑)”が存在する事をわたし自身、認めています。
だって、現にそれらの効果によって救われている人がわたしの目の前にたくさん存在したのは事実なのですから、そんなものはない!と排除するほうがナンセンスだと思います。
ですが、ヨガの指導を心、心、心と偏ってしまうのも、実は危険だな、と感じるのです。
・・・と、ここまで読んで頂いた方の中にはきっと
と憤慨される方も多いかもしれません。
では、誤解を恐れず、聞かせて下さい。身体の知識があるというのなら、
- 骨とはなんですか?
- 筋肉とはなんですか?
- 筋と腱の違いはなんですか?
- そもそも身体ってどうやって構成されてるんですか?
- 各ポーズを取った時に、身体の中ではどのような事が起こっているのですか?
- ○○のポーズをとったときに、○○の部分が痛いのですが、それはなぜですか?
等々・・・
これらの質問を無邪気に投げかけてくる生徒さんに対して、ロジカルかつ的確なアドバイスができていますか?
自信のない回答を避けるために”ヨガとは・・とか、心が・・チャクラが・・”という言葉で誤魔化していませんか?
私は仕事柄、ヨガ業界外の健康産業従事者と意見交換する機会が多いですが、やはり業界比較をしてみても、ヨガ業界従事者はまだまだ
「身体」に対する知識レベルが、非常に低い業界だと言わざるを得ません。
一体何をどこまで学べばいいのか?

では、実際にヨガインストラクターが身体の知識に対して、何をどれくらい学べば、プロのヨガイントラとして十分なのか?
ちなみに、ヨガインストラクターが身体の知識を本当にプロのレベルで学ぼうとすると、鍼灸師や理学療法士などの国家資格を目指す為の学校に入るのも一つの選択肢です。
事実、近年意識の高いヨガイントラの方で、鍼灸や理学療法の学校に通われている方が、私の周りでも数名いらっしゃいます。
ですが・・・現実問題、これらの学校に通い、国家資格を取得するためには、専門の学校に3年以上通う必要があり、その学費は、3年で300万~500万以上かかったりもします。さて、それはヨガインストラクターにとって、現実的でしょうか?
ヨガ業界では、数年前より”ヨガ解剖学”というアプローチの講座をゆっくりとではありますが、開催するようになっています。
いわゆる
という内容の講座です。
例えば、ヨガジェネレーションが2010年より講座を継続している、内田かつのり先生のヨガ解剖学。
内田先生は鍼灸師の中でも一番難しいとされるスタイル(鍼灸にも様々な流派があるそうです)を学び、国家試験をパスされた、いわば身体に関するプロフェッショナルです。かつ、ご自身も現役のヨガインストラクターとして活躍されているヨガの先生でもあります。
先生はおっしゃいます。
日本のヨガインストラクターの方は、ヨガのワークショップや哲学ヨガ講座や、瞑想や、チャクラの話など、そういう講座にはお金をかけて勉強されるのに、ヨガの指導者として、本来一番持っていなきゃいけない身体の知識を学ぶ為の自己投資(お金)をほとんどかけないのが現状です、それが不思議で仕方がない。
わたし自身、当時この意見に物凄く共感したのを覚えています。
これからヨガインストラクターを目指される方や、すでに先生をされている方に、今から鍼灸の学校へ入り、何年もの時間と何百万もの大金をかけて、身体のプロになりなさい!とは言いません。ですがヨガの「心」の知識を学ぶのと同じくらい、実はイントラとして身体の知識も学ばなければいけないという意識は持って頂きたいのです。
そして、前出の質問に対して、「心が~・・チャクラが・・・」と答えるのではなく、時に、その方の身体をしっかり見て、
というアドバイスをかけれるようになって頂きたいのです。
現在ヨガ業界にはヨガ解剖学講座が多数存在します。どの講座を受講してもいいと思います。
皆さんが、ご自分の信頼する先生と巡り合い、バランス良く「心」と「身体」の知識を学ぶ事で、ご自身の指導に、さらに深みと広がりがもたらされることで、日本のヨガはさらなる発展をみせると確信しています。
皆さんにとって、上質で継続的な“ヨガの学びの場”を提供できるよう、私も努力していきたいと思っています。
-MIKIZO-


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